紙丑堂の業務日誌

ぼんやりしがち

2024年2月上旬~5月の感想メモ

映画、本、ゲーム、ドラマなどの感想。Blueskyからサルベージできた分をメモ。文章になってないというか、つぶやきまんまです。
感想書いてないのもある。

▼映画

『ニトラム』

題材も意図も、ガス・ヴァン・サント『エレファント』と引き比べることで足がかりを得られそうに思ったのだが、あれこれ考えても『エレファント』には及ばないのでは…というのが正直なところだった。
本作から聞こえてくるのは典型的な「答えはない」という“正答”で、その次に引かれる補助線は、銃があまりにもお手軽に買える制度や“外れ者”を受け入れないという、社会の構造そのものだ。
うん、知ってる…だよね…。でも、「考えさせられるね」以上のものが…ない…のでは……ないか……。
たとえば家族の描き方。父親がありのままを肯定しすぎて教育を放棄し、その反動として母親の躾が頑なになりそれもまた上手くいかないという構図はわかりやすいのだが、あまりにもわかりやすく「考えさせる」ことがどうにも私は引っかかる。
同様の引っ掛かりはラストシーンまで続き、こと事件を起こすシーンに至っても、見えるものはどこまで行っても「演技がうまいケイレブ・ランドリー・ジョーンズ」の肉体でしかない。画面外で鳴る銃声に、起きた暴力のどうしようもない取り返しのつかなさが、重みを伴ってこない。観ている側の肉体にまで降りてこないとでもいうか。頭でっかち感というか。
答えがないことを前提として撮っているせいで、あるはずのない答えを得ようとして挑んだ『エレファント』ほどの強度が逆に得られなかったというか。かなりつらくはあるし、口ごもりはするが、汗ばむ肌の匂いはしないし、画面の外で流れているはずの血のぬめりも感じられない。
それと、あんなに嫌がっていたあだ名(Martinの逆さ読みなの、映画の後半でようやく気づいた)は実在のものなのだろうか。だとしたら、それをタイトルにつける意図は何なんだろう。犯人の名を剥奪することへの小声の抗議なのだろうか。それなら理解はできる。ただ(あだ名が実在するのなら)普通にこのタイトル呼ぶの嫌だよ…。
ただ、色々言ったけど母親役はとても良くて、皺が美しくて生々しく、生物としてなんども見惚れた。ただ、少し見て回ったらお母さん酷い系の感想がそれなりにあってマジか…てなった。彼らはあのずっと胸に光っている金色の小さな十字架と、けれどそれを一度も握りしめなかったことについてはどう解釈してんのだろう。
それと映画の白眉のひとつはお父さんボコボコ事件で、もうひとつは間違いなく銃器販売店のシーンだとおもうんですが、あそこおれ見てて悲鳴あげたよね…。あそこだけコメディかとおもったもん。驚きすぎてイヒヒみたいな声出して笑ってるうちに、銃買う良い客で銃の腕もあるからそれなりに人として扱われるようになり…のくだりは唸った。娑婆い。あまりにも娑婆だった。しんどいね。
2024年2月8日

『テリファー』

90sのメイク再現がめちゃくちゃクオリティ高くて、まずそれにびっくりした。(実際には現代に受け入れやすくしてあるんだけど、90年代のイメージは芯食ってる)低予算のゴアを画質の悪さでうまくカバーしつつメリハリつけて、見せ場では豪快にゴアる心意気がとてもえらい。ただ、やっぱり生ぬるいというか、あ、そこは直接は見せないんだね…みたいな気持ちにはなってしまう部分も多い。ていうか、実はそもそもそんなにショーは多くない。終盤までは違和感なく逃げ場を奪っていたのに、ファイナルガールがはっきりするあたりから急に判断力が鈍ってノイズになるのもちょっと残念。
あ、あと『テリファー』は女性のタマヒュン映画としてもかなり高得点で良かったと思います。逆に男性への興味は薄すぎて気の毒になるくらいだった。正直、何度か「ちゃんと平等に見せ場を作って(殺して)あげなさいよ!」とおもいました。
テンションとしてはわりとコメディ寄りだと思うし、スラッシャー独特の人体の脆さとかは積極的にギャグにしていく素振りも見えたので、そのへん合う合わないはかなりあるかなとおもった。私は爆笑したけど、真面目にやれよと思う人もいるはず。さっさと警察電話しちゃってもサスペンスは失われないんだから、わざわざ不自然な行動を取らせなくてよかったような。(もし定番だから入れているのであれば、「お約束」をどこに定めるかの宗派が違うだけなのかもしれない…)
冒頭に生き残りを提示して、その生き残りは誰だ?というミステリにしたのはすごく良いアイディアだし90分未満なのは本当に素晴らしいのだが、それでも後半はダレた。ただ、検死のシーンでの台詞回しがやたらくどいのを見て、ほぼ台詞なしで進めたのは自分たちの弱みと強みをよく理解してるんだなとおもった。
進化してそうだから2も観ます。
2024年2月10日

『ドラキュラ / デメテル号最期の航海』

散漫になりがちな脚本をウーヴレダルの脚力と背骨が観られるものにしてくれていた。職業プロフェッショナルを扱うときのツボ(デメテル号の堂々たる美しさよ)をきっちり押さえ、迷走しがちなトーンの基調を怪奇小説としての側面に据えたことで、そんななくてもいいはずの2時間をきちんと堪能させてくれる。そして撮影がめちゃめちゃ良くて、誰かと思えばトム・スターンなのだった。つまり画面見てればうっとりできるので私はすごく愉しかったんだけど、でもやっぱりどう考えてもアナ要らない…。
あとアナが英語ペラペラ喋るのだけは本当にどうにかしてほしかった。ただ、犬と子供をきっちり処理したり、ロードの名を唱えると必ず奴がやってきたりのくだりは“それ”の本質を捕まえていてとても良かった。なお私はモンスター映画になってるのは個人的にはぜんぜん構わない派。それよりも「到底太刀打ちできない邪悪が到来する」という本質を押さえ続けていてくれたことのほうが大事なので。その点はきっちりコントロールされていたので満足。
(ちなみにすごいどうでもいい話なんですが、ヴォイチェク(デビッド・ダストマルチャン)がトム・サヴィーニに見えて仕方なかった)
太刀打ちできない邪悪に対峙したとき人間の善が試されるという古典的なテーマを描くとき大切なのは、その邪悪が克服不可能であると実感させられるかという、ビリーバビリティをどれだけ担保できるかにかかっていると思っている。『デメテル号〜』は台詞で説明しようとしている部分がかなりあり、そこは正直かなり薄っぺらいんだけど、じつは画面に立ち込める霧や夜の海の闇の濃さ、カンテラの灯り、嵐にもびくともしない老練の兵士のような船の佇まいなんかがすでに蠢く邪悪の存在を確かなものとしていてくれるので、ギリ浮かないみたいなミラクルが随所で起きていた。良い。
言うてわたし脚本(のうちのひとり)の『デビルズクエスト』めっちゃ好きで、あの香りがたしかにかすかにフッと鼻先をかすめる瞬間はあったんすよね…。もっと「ああ」してくれてもよかったのに。
ただ、今回アクションのカット割とかあんま良くなかったんだよな…位置関係がわかりづらくなることも多々あって、それはちょっとどうなんだろうなとはおもった ウーたんならもっとやれるはずなのに………。

『コンジアム』

傑作でうれしかった。エアポケットみたいにぽこっとこれだけ観てなかったの気がかりだったんだけどほんとなんで今までほっといたのか。「お前もうホラー映画好き名乗るな」「ハイ…」って脳内の自分がめちゃめちゃキレてきたよ…。そりゃ有名にもなるよな。ほんと巧かった。ずっとニコニコしながら観てた。
『グレイヴ・エンカウンターズ』がやるべきだったことをすべてやりおおせて、プラスαでゲーム含んだ様々な方面のホラー作品にリスペクトの投げキッスをしていくので爽快ですらあった。いい性格してる隊長だけど最後に根性見せるところや、でもそれは視聴者には伝わらず散っていくという話の持って行き方も素晴らしい。
なお、わたし映画の好き嫌いは激しいかわりに許せない作品っていうのはほぼなくて、あっても片手に収まる本数なんですが、グレイヴ〜(2はゆるしてる)はその数少ない作品のうちのひとつです。
2024年3月9日

『オオカミの家』

U-NEXTに来てたので観た。宣伝がかなりうまいことやったのでヒットに繋がったんだな…と謎の感心をしてしまうほどゴリゴリのアートアニメーション。作ってる本人らが楽しそうに実験してるのはよかったんだけど正直わたしの肌には合わなかったので、どっちかっていうといち早く彼らと組んだアリ・アスターの慧眼すげえなみたいな感想になった。
なおU-NEXTの配信はWOWOWの解説ミニ番組もくっつけて配信してくれてて、それはありがたいんだけど、この解説あんまよくない…。コロニア・ディグニダについて詳細な説明はないので、どんな団体で何やらかしたかはwiki読むなりネトフリのドキュメンタリー見るなりしてからのほうがわかりやすいとおもう。
2024年3月15日

『Beyond the Black Rainbow

ところどころ寝落ちしながら見た。パノスコスマトスずっとやりたいこと一貫しててブレなさすぎてえらいなーとおもった。おれやっぱこの人の作品すきだな。寝たけど。
夫は「この人見つけてマンディ撮らせたプロデューサーがえらい」って言っててたしかにそうだよなあとおもい、うんうんと頷いてる間にも寝た。催眠作用がある。
2024年3月19日

鮫肌男と桃尻女

ものっすごく久しぶりに観たんですが、驚愕のおもしろさでヤバかったです。内容ほとんど覚えてなかったのにもびっくりしたけど、めっちゃ巧いやんけ。
おれわりと石井克人好んで観てたんですが(パーティー7も茶の味もリアルタイム劇場組です)当時わたしと似たかんじのテイストで映画好きな人たちからは石井克人総スカン食らってて、だからこっそり楽しんでたような記憶がある。けど今観たらふつーーーにめちゃくちゃ面白いじゃん!てなった
2024年3月23日

『レンフィールド』

すごい楽しそうにやってて最高。予想以上に景気よく人体がハジけ飛ぶのでご機嫌になり、何回か手叩いて「ホホホ」って喜んじゃった。話の進み方も早くてパイレーツ・オブ・カリビアン現象起こす一歩手前だったけど、メリハリついてるのでギリ問題なし。時折入るナレーションがちゃんとオチに繋がってるのも良し。たのしかった!
2024年3月28日

トーク・トゥ・ミー』

薬物、ダメ、絶対の啓発映画のスタイルをホラーに転用したら…というアイディアでこれだけ見せるの、すごい。感動した。めちゃくちゃ厭なホラーになっていて爽快だった。
「ちょっとだけだから」も、「皆やってるから」もダメ。「こっちは軽いやつだから」もダメ。バッド入りそうな奴にやらせるのもダメ、絶対。降霊、ダメ、絶対。降霊やめますか、それとも、人間やめますか?
2024年4月22日

グランツーリスモ』(映画)

最高…………………
キャパに妨害されて呆然とするヤンにコーチが掛けた“You're still in the race.”という台詞が好きすぎた ボロボロ泣いた
狂人しか出てないうえにその狂気を躊躇なく寿いでいるのがマジで素晴らしく、なぜならそれは人間へのてらいのない愛であり讃歌であるからです ブロムカンプを監督にえらんで正解だよ 車のことなんもわからんのに車かっこよ!!!!!となったし(おれはブロムカンプ一生ついてく教なので…)
2024年4月29日

『エクスペンダブルズ ニューブラッド』

開始15分であまりにも台詞がひどいのでさすがになんなの…となってスタッフ見てみたら燦然とかがやく「脚本:カート・ウィマー」。以上。解散!



おれ昔のカート・ウィマーは底抜けとしては好きなほうだったんだけど、ちょっと古臭すぎてなにも面白くなかった そっちのがショックかもしれない
……かと思いきや脚本だけじゃなく監督のほうも相当ひどかった。イコがどうとかの騒ぎじゃねえ…トニジャさんも………もう……何…………………
2024年5月1日

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

設定とメッセージありきな作りで個人的にはふーーーんくらいの感じだった。キャラクターの造形がわりとフェティッシュなので、ああいうの好きな人はたのしいんだろうな…
アニメって空間が広がっていかないから安心感というか、狭さゆえの安全みたいなのあるなとはおもった メッセージを楽しみたいだけなら確かに有効な手段なのかもしれない
2024年5月3日

『花束みたいな恋をした』

遅まきながらみたけどよくわかんなかった。根性ねーなとおもったけどかわいいっちゃかわいいわね
まあ、ただ、そういう根性のないぼんやりとした好きをすり減らさないと生活できないような社会はいやだよね、みたいなのはあるんだろうし、それはそうよねとはおもった。面白かったのは、作中の主人公たちが好むようなフィクションが好んで描くのはむしろ配達する荷物を全部捨てる人だろうに、主人公たちはそういう騒動でいちばんすり潰される場所にいるという転倒。ただ、だからこそ、ズルズルと大事なものをすり潰されてしまうかもという恐怖がリアルな共感を呼んでいるだろうにあのトーンで終わるというのは「よくわかんねえな」になった。
ただ、たべおそをあんなふうに愛らしく買える女がいんのかよという戦慄はありました 有村架純なんかすごいかわいいね びっくりした
(あとパズドラとか実写版魔女宅とか、ナシに属すると映画内で規定された文化が多少きのどくであった…)
2024年5月6日

『ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ』

パペット・マスターやチャイルド・プレイ系のおもちゃスプラッタというよりは、「ストーリーで観るFNAF」って感じの、のんびり和める系ホラーで良かった。私は好き。いつものアニマトロニクスたちが「マジでそこにいる」感は最高だった(ジム・ヘンソン・クリーチャーショップも参加してんのね)し、ゲームでは常に殺意マックスの彼らが子どもとすごく楽しそうに遊んでる姿にはちょっとホロッと来たりもした。ファン向け作品としても、ウェルメイドな和みホラーとしても手堅い作りで、さすがブラムハウスって感じでした。新宿の展示見たかったな……
2024年5月14日

白石晃士の決して送ってこないで下さい』(劇場版)

U-NEXTで観た。白石監督、たった一人で「ホラー映画の女の幽霊」のステレオタイプを根本から覆してぶっ壊そうとしてる感あってむちゃくちゃ頼もしい……。後味の悪さというか、ラストを完全な是とは撮っていないあたりの意志の強さもすごく好き。そして、それでもゲラゲラ嗤ってしまう邪悪さが自分のなかに澱んで凝り固まってることを思い出させてくれるのもとても良い。
中盤の異常者の集いみたいな画面、めちゃくちゃ怖くてめちゃくちゃ笑った。でもぜんぜん異常さをバカにしてなくて、なんならシンパシーを抱いているのもすごく良い。ほんと好き。
2024年5月15日

ゴジラ -1.0』

ちょーつまんなかった びっくりした ゴジちゃんはいぬ似でかわゆすでした あと安藤サクラは良かった
オマージュだとか典型そのままの展開だとか生きてこそなテーマとか、いちいち律儀にやる監督にこれ撮らせたたらこうなるのわかってるからこの人選なんだなぁというのがいちばんの辟易だわね…
これを評価するという感覚がわからん ほんとうにくだらないものを観た
2024年5月19日

蛇の道』(1998)

楽しみとしては久しぶりに観たが、やはり非常に邪悪で美しい、ゆえに恐ろしい映画よな…と嘆息した。リメイク楽しみだな…と考えると緊張して吐きそう。いつものやつです。
(楽しみとしては、というのは、ちょっと前にかるいお手伝いで資料としてぶつ切りに観る必要があったので)
しかしやはり通しで見るとあの夜の道路、哀川翔の振り返るあのシークエンスや香川照之の笑顔など、とにかく恐ろしい画面が惜しみなく出てくる。こわいこわい、哀川翔、なんて悪い奴なんでしょう、悪魔みたいだねえ、でもね、もーっと怖い人がいるんですねえ、誰でしょう、恐ろしいですねえ、それではまた映画のあとにお会いしましょうね
2024年5月28日

▼本

ユン・ゴウン『夜間旅行者』

ぜんぜん関係ない話なのだが、今日お風呂に入りながら、(おもにSNSでとびかう言説に)おぼえる違和感と苛立ちの根本にある感情について考えていて、私がもうこれ以上開示したくない、黙ってやる(黙るではなくて黙ってやる)と決めたのは、もうこれ以上は明け渡してなるものかという、意固地でいじましくて底意地の悪い怒りでしかないのだけど、その怒りはすごく大切で私のコアにかかわるもの、小さくて誰にも明け渡したくない怒りなのでほかにやりようはないのだということに気づいた。……で、この小説には、最後のほうにまさにそのことについて書いてあった。こんなことってある?
「嘘をつくことでしか守れない」、そうなんよ。びっくりした。そうなんよ。
読めてよかった。出会うべくして出会った。たぶん、必要なひとのもとに勝手に歩いていくタイプの静かな小説。怒りの形をとれない、震えるほどのつめたい怒りについての小説。ほんとうに、私が今読むべきものだった。ほかのひとはしらん。
2024年3月7日

キャサリン・レイシー『ピュウ』

量もないのに時間かかっちゃったのには理由があり、端的に言って中盤から「ハイハイ罪悪感罪悪感」という冷めた気持ちが拭い去れなかったから。本作は冒頭に「オメラスから歩み去る者たち」の一節が掲げられており、おそらくオメラスの子が解放され20世紀末(?)のアメリカ南部にやってくる寓話として読むことができる というか私はそんな感じかねえと思いながら読んだのだが、だとしたらなんか…うん…。ぼんやり苦しんでるだけっていうか…長いんよ…
小説そのものとは関係ないんだけど、翻訳で一箇所おっ!となった部分あり。「他人から奪うには耳障りのいい言い訳がいる。」(p140)耳障りがいい、って漢字もこのままでスタンダードとして認められつつあるんだなって
罪悪感をしかめっ面でそれっぽく語る話、もうええよ
2024年4月14日

マネル・ロウレイロ『生贄の門』

楽しかった!!!!!裏表紙に書かれてるあらすじから想像したような派手さではなく、豊かな自然にたっぷり含まれた高濃度の古い闇がじわじわ浸透してくるような、わりと泥臭さのある読み味。構成がとても巧くグイグイ読ませる。わぁい、わぁいと言いながら酷い話を堪能できる。やっぱりいいね……こういうのは……
2024年4月28日

ジャック・オコネル『闇に刻まれた言葉』

やっと読了。誰かが誰かに語る物語がさらにべつの物語を語る、という複雑な構成で編まれたオカルト・ノワールとでもいえばいいのか。怪作の類なんだろうけど、その熱量にあてられて夢中になって読んだ。一文一文を正確に読まないと先に進めないのでかなり時間はかかったが、その読み方が必要とされるのも当然の重苦しさ。不思議とモチーフや雰囲気は現代の連ドラやゲームに通ずるものがあるのも面白かった。『私書箱9号』もかなり楽しみだけど、ちょっと時間置こうかな。そして他の作品も訳されてほしい…
大滝瓶太の書評が読みてえ…とかなり切実におもった作品でもある。理由は、絶対に面白いから。
というか、ちょっとでもマイナー寄りになると、まともな書評がぱっと手に取りづらくなってる 気がする Google先生が先生であることを放棄して久しいせいかしら
2024年5月20日

『Neverland, Neighborhood』

2024年5月26日 

▼ゲーム

『未解決事件は終わらせないといけないから』

クリアしたー!終盤の畳みかけすごかった。面白かったー!
store.steampowered.com/app/2676840/
2024年3月16日

『Loretta』

クリアした!たぶん極力ひとを殺めない選択をしたのでウォルターとの再会はかなわず(かなわんでいいあんなクソ男)、子とロレッタの笑い声にほんのすこしだけ安らぎのあるエンドになった。つれえ……
こうなってくると皆殺しにしてパーティーに招待されたい気持ちもあるのよね すごいツイン・ピークス感あるし見てみたい
たださあ、この手のゲームによくある「なくていいミニゲーム」がマジでなくてよすぎて萎える ゲームっぽくしたくなる欲望ともうすこし戦ってほしかった……
Lorettaはテキストがすごく良かったな。腐った階段で古い釘を踏み抜いてしまったとき、期限切れの薬を飲むか飲まないかの選択肢で「飲む」をえらぶと、ロレッタは「これ以上悪くなることなんてないでしょ」と言うんだけど、エンディングを迎えてからようやくその台詞を思い出して可笑しいようなしんどいような、びみょーな顔してしまう。そういうテキストと選択の妙みたいなところにすごく味がある。"
2024年4月13日

『ハロルド・ハリバット』

何を書けばいいかわからないほど好きな作品でめちゃくちゃ好きだった。丁寧に作られた舞台を歩き回るだけでもたのしく、その歩き回る経験が作品に深く影響する。ゲームという形を選んだ理由もよくわかる。(ゲームじゃないとだめだった表現という意味ではNight in the Woodsとてざわりがすこし似てるかも。)ゲーパスで遊べるので、興味あればぜひちょっとでもさわってみてほしい。素晴らしかった。
2024年4月29日

『Lorelei and the Laser Eyes』

※クリアは2024年頭に済。メモ。
終盤の展開がものすごいんだけど、最近わたしがずっとちみちみ読んでるJオコネル『闇に刻まれた言葉』がわりとこのゲームと地続きで、しかもAlan Wake 2とローレライを接続できる橋渡し的な位置にもあり、アラン無印がツイン・ピークスからやってきたとするなら2へ続く過程でそのツイン・ピークス的な混迷はどこを経たかというとやはりたぶんこの作品が扱っているどこかであるともいえ、クインシガモンドの暗い歴史と言語の迷宮はゲーマーにこそつよく薦めたいなという(歩きスマホなのでやめます)

『シリアルクリーナーズ』

2024年5月26日

▼ドラマ・ドキュメンタリー

『三体』ネトフリ版

トンデモホラ話としての強度が下がった代わりに移民というテーマが上手く落とし込まれて現代的なアレンジがなされていたのが良かった。ゲースロ勢の演技も良い。原作と比べてどうかは原作ほぼ覚えてないからアレだけど印象的な場面だけは全部やってるみたいな感じかな…。何より物量で尤もらしさを押し売りしてきた原作を換骨奪胎してあれだけのエンタメに仕立ててる手腕は大したものだとおもう。総合してすごく楽しかった。ダヴォスさん(ダヴォスさんではない)のトーマス・ウェイドが凶悪すぎてめちゃくちゃ好きになった。
2024年3月26日

十角館の殺人』Hulu版

総じて良かった。ドラマとして見たときどうなのかは正直わからないんだけど、すごく丁寧に魅力を分解して再構築してるとおもう。どうやったって原作の驚きは映像としては無理なわけで、そこでどうするのか?の答えがこんなに生真面目なものだったことにまずは拍手。これだけ丁寧にやってくれるなら西澤保彦のタック&タカチシリーズとかも映像化行けるんちゃうか…
ただ、(日本の映像作品全般的に言えることだけど)予算もうちょいつけて映像リッチにしてほしいのと、若い俳優さんたちが全般的に小綺麗すぎるのは何とかしてほしい
2024年3月27日

リプリー』ネトフリ版

めっちゃ良かった。さいご「ブラーボ!ブラーボ!!」って夫と拍手した。白黒でやるべきだったわこれは。めっちゃ良かった。
ひたすらにめんどくせえ・上手くいかねえ・割に合わねえ初めての殺しを抑えた笑いもまじえてがっつり1話分やるのが素晴らしい。その後もひたすらめんどくせえ・上手くいかねえ・割に合わねえ殺しに付き合わされながら加速度的に悪くなっていく状況と、謎の悪運でその猛攻を躱すトム・リプリーのカラバッジョと重なりつつ微妙にズレる道行きに目が離せなくなる。白黒で画面の情報量をコントロールしつつしっかり光と闇のコントラストで魅せてダレず、けれど急がず、独特のテンポを生み出しつつ役者の力を最大限に見せつける手腕に酔っ払える8ep。構図もカット割もシーンの繋ぎも、すべてがエンタメに奉仕していてマジで最高。
白黒がただの懐古的美的センスで取られた手法ってわけじゃないのが素晴らしかった あとやはりアンドリュー・スコットがマジでヤバい 最終エピソードにゲスト的に出てくるあの人には笑った あの人出た瞬間に「両立が難しいサブクエをぜんぶこなすと登場するレアNPCじゃん」てなる 人選最高
サクセッションの穴が埋まった感あった マインドハンターを失いサクセッションが終わったことで空席になっていた「テンポと機微」の席にスッと座ってくれた感 ありがとう
2024年4月7日

『フォールアウト』

どわーーーーーー見終わったーーーーーめーーーーーーっちゃおもしろかったシーズン2はよーーーー!!!!!!
マキシマスもルーシーも「グール」も、あとドッグミートとしてはかなりアホの子なドッグミートも、みんなすき……さいごみんな良い面構えになっちゃってまあ……シーズン2……シーズン2いつ…………
ドラマ版フォールアウト、Falloutシリーズを楽しんでるプレイヤーが何を求めているか、どこに「らしさ」の手応えを得ているか完全に把握してる感じだったのが圧巻だったな。これはなかなかできることではない、得難い体験で僥倖………
わたしがいちばん「おおおお」となったのは「なんもわからん」→「過酷な体験」→「なんとなくわかってきた」→「じゃあ自分はどうしたいのかという意志を獲得し、物語をえらび、切り拓いていく」という一連の流れがエモーショナルな部分含めて完全に再現されてたとこだった"
2024年4月13日

『ワンダヴィジョン』

ゆうべ見終わって、あまりにも面白くてびっくりしてたんだけど、それはそれとしてワンダはなんであんなにひどい目にあわなきゃいけないんだよぅとメソメソした おれだったら耐えられない……
MCUの人たちみんなそんな感じではあるんだけどさ でも自分の愛するひとの惨い死に方を4回くらい(SWORD乗り込んだときに死体と対面したのも一回とカウントしてる)目の当たりにして、しかも半数はじぶんでやってる計算になるわけじゃん そんな悪夢ありますか?
ジャーヴィスというかヴィジョン、ポール・ベタニーが丸出しになると普通にポール・ベタニーで顔が良すぎてそっちに気を取られてしまうので、声だけ骨格だけに決めたひとのセンスすごいなともおもった
それしにしてもシットコムの年代別演出マジで完璧すぎてなんども声出しておどろいちゃったよね 当時のスタッフ連れてきた?とおもうくらいすべてが完璧だった ワンダも相当のテレビっ子よのう(お主もワルよのうのノリで)
MCUぜんぜん積極的には追いかけてないのにだいたいわかるの、“時代”だなあとしみじみした ひとつのムーヴメントをそれと意識せずに過ごせるのは同時代の特権だよな…"
2024年4月21日

『マーダー・イン・ザ・ワールドエンド』

世界の終わりの殺人事件、みたいなタイトルのドラマ観た。ところどころズンドコな行動や動機にはてなが飛ぶこともあるけど総じて面白かった。(ただ、しぬほど寒いとわかってる場所に薄着で行ってなんらかの事故にあう、が度重なるのは天丼ギャグなんですか…?とちょっと不安になった)探偵役の俳優さんめちゃくちゃチャーミング。
2024年4月26日

『トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー』

最高だった。シリーズの中でわたしこれ一番すき
今までは(それぞれ持ち味が違いどれも良かったとはいえ)シーズン1は超えられない、というかシーズン1の残響を引きずりすぎているきらいがあったけど、今回は精神的に一番深い部分を踏襲し、さらに今の問題、今の視点も盛り込んだ上でそういう「意義のある」「意味」を薙ぎ倒すような闇の濃さ、ホラーへの愛、囚われではないシリーズへのリスペクトが織り込まれていて美しかった。ただ、ただ美しかった。畏怖という感情の描き方はシリーズ随一。傑作。
2024年4月27日

SHOGUN 将軍』

ブラビッシモでございました。おれが大河でやってほしかったやつ、ここにあった。マジ天晴。脱帽。
SHOGUNのここが良かったとかここには感心したとかの話をしたいのだがむちゃくちゃネタバレになってしまう バジェットが桁違いといえばそれまでなのだがそれだけでは断じてない たとえば夢想するひと(具体的に“未来”や“夢”を映像として描かれるひと)は誰か、その夢想はどのように扱われるのか、そういう細かな演出ひとつとっても計算し尽くされている ぐおお言いたい
2024年5月3日

『ロキ』S1

ワニかわいい🐊緑だからロキ……
2024年5月4日

『ボバ・フェット』

めちゃめちゃ面白かったんだけどなんで評判悪かったん????めちゃめちゃ面白かったんだけど…ロドリゲスの兄ィのやりたい放題、最高ですやん…………
あれか?全7話のうち2話のなっげえのCM入ってたからか?あれはおれもどうかとおもいます。スター・ウォーズの話はどうでもええねん
2024年5月16日